将来薬剤師になろうと考えている方や転職を考えている方は、薬剤師業界の現状がどのようになっているかについて気になっていることでしょう。
この業界は10年前、20年前には収入もよく安定性もあることから、非常に人気の高い業種の一つに数えられていましたが、現在はどうなのでしょうか。
結論から先に言ってしまえば、薬剤師業界は他の業界と比べるとまだまだ需要が多い業界だと言うことができます。
正社員としてはもちろんですが、時給が高いことからお子さんをお持ちの方が派遣やパートとして働くといったことも選択できるので、非常に働きやすい業種だといえるでしょう。
しかし、最近は特に都市部で薬剤師の余剰感が出てきていて、以前ほど魅力的な業種だといは言い切れなくなってきたというのが本当のところでしょうか。
薬剤師の増加の背景には、2000年前後から薬学部(特に私立大学)が急激に増えたことがあります。
それまではいわゆるバブル景気の影響もあって一般企業に勤めるサラリーマンの収入も非常に高水準にあったため、わざわざ薬学部に入学して国家試験に受かる必要がある職業に就こうと考える人はそれほど多くありませんでした。
しかし、バブルが弾けて景気が悪くなり始めると手に職を持つことが重要視されるようになり、薬学部に入学する学生の数が急激に増えることとなりました。
その学生が卒業する2005年くらいから非常に多くの新人薬剤師が誕生することになり、供給過多の様子が見えるようになって来ました。
そして、供給過多のもう一つの大きな原因が登録販売者制度です。
以前、ドラッグストアなどで第2類医薬品、第3類医薬品を販売するためには店内に薬剤師がいることが条件となっていました。
しかし、登録販売者制度が始まると登録販売者の資格を持つスタッフがいれば第2類医薬品、第3類医薬品を販売することができるようになったため、ドラッグストアでは比較的人件費の安い登録販売者を積極的に雇用するようになりました。
このため、薬剤師の働き場所が減ってしまいました。
こういった現状から、以前のように薬剤師の資格を取得すれば誰でも安定した雇用と高水準の賃金を手にできるということはなくなっています。
中には比較的高齢で高収入の薬剤師がリストラされるということも起こってきています。
しかし、だからといって薬剤師の将来が真っ暗闇かというとそんなことはありません。
実際、求人情報サイトや転職情報サイトをみてみると、薬剤師の求人は非常に活発に行われています。
つまり、専門職として高度なスキルを持っている人や専門的な知識を持っている人に関しては今でも引っ張りだこの状態だということです。
自分なりのストロングポイントを打ち出すことが出きれば業界内でどんどんとステップアップすることができるので、高収入を得ることも可能です。
そういった意味では薬剤師になることがゴールではなく、実際に働き始めてからもスキルや知識を高めていくことができるかどうかで、将来的な成功に結び付けられるかどうかが決まってくるということができるでしょう。