抗癌剤といっても、その種類や治療法も多種多様です。
ここでは、近年増加している乳癌や子宮癌に用いられる抗癌剤にの副作用を例にお話したいと思います。
抗癌剤全般の代表的な副作用として、悪心・嘔吐などがあげられますが、具体的には食欲不振・味覚障害・消化不良・強い吐き気など本当にその症状は多岐に渡ります。
特に胃腸などの消化器官の不快感を伴う症状が重症化する傾向にあり、これらは抗癌剤治療を繰り返し行うと毎回悪化するのが患者にとって大きな苦痛となるのです。
消化器官の副作用に加えて、筋肉の痙攣やだるさなどの身体症状も起きることが多い為、全身症状に襲われます。
こうした、全身症状の痛みが強いことから起こる嘔吐などもある為、思うように食事を摂る事が困難となり、体力減退により更に悪心・嘔吐の症状がひどくなる人が非常に多いのが現状です。
これらの強い副作用は、個人差はあるものの、一般的には抗癌剤投与から一週間から十日近く続き、その後漸く症状は軽減されてきます。
ただ、前述したように、抗癌剤投与が重なるとその都度症状が強く出る為、患者は抗癌剤の副作用におびえる日々となってしまうのです。
抗癌剤による悪心・嘔吐などの症状を抑える薬を同時に処方される事も多いのですが、胃腸の症状は改善されにくく、全身症状の痛みを抑える鎮痛剤などに比べ、症状の改善が難しいといえます。
副作用の一つである味覚症状は、食欲を減退させる為、結果胃に何も入らない状態が続き、悪心・嘔吐の症状が強く出てしまうという悪循環を招きます。
味覚症状は長く続く事が多い為、多少無理をしてでも高栄養食を摂取するなどして胃を働かせ、胃腸の負担を軽減させる事は有益です。
これらの胃腸の副作用の症状が回復しないと、体そのものの免疫力が低下し、次回の抗癌剤治療を受ける事も困難になってしまう事があります。
悪心・嘔吐症状があると、日常生活にとても大きく影響し外出や家事も困難となるため、家族や周囲の援助が必要となります。
自らなかなか栄養を摂る事が難しくなる為、少なくとも抗癌剤投与から、悪心・嘔吐の症状が強くでる間は、患者に対する周囲の配慮が必然です。
抗癌剤の副作用が強いことは一般的に知られていますが、それに対して抗癌剤治療は通院で行われることが多く、患者の体力を奪い、疲労させます。
胃腸の症状が強いと特に倦怠感・全身疲労などを強く感じる為、悪心・嘔吐の症状が全身に与える苦痛はとても大きなものとなります。
現在、抗癌剤の副作用は以前に比べるとかなり緩和されてきてはいるものの、依然としてこれらの悪心・嘔吐などの症状が強くでるのが現状です。
今後の抗癌剤研究の大きな課題ともいえますが、副作用の少ない抗癌剤の研究に加え、代表的な症状である悪心・嘔吐により有効な処方薬を見直すことも重要といえます。
抗癌剤の開発は日進月歩ですが、現代の医学でもこういった症状を完全に抑える薬はまだ開発されていないのはとても残念なことです。
癌患者が抗癌剤の最も辛い症状といえる悪心・嘔吐から開放され、治療に専念できる日が一日も早く来ることを願ってやみません。