エパルレスタットは、糖尿病性の神経障害を抑える薬として、糖尿病が進行して生じる手足のしびれや痛みなどを緩和、改善する効果があります。
糖尿病というと、脂肪の多い食事などを取り過ぎ、肥満やメタボ体型になって生じる病気というイメージがあると思います。
食生活の改善や運動によって体重や体脂肪を落としたり、ケースによってはインシュリンによる治療が必要な症状が思いつくでしょう。
しかしながら、糖尿病は、そういった症状にとどまらず、高血圧症や脂質異常症など、血圧が高い、コレステロール値が高いといった、体内バランスの悪さが重ね合うことにより、重大な合併症を引き起こすことがあります。
その1つが、糖尿病神経障害です。
糖尿病に特有の合併症には3大合併症と言われるものがあります。
糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の3つです。
適切な治療を受けなかったり、食生活の改善や運動不足の解消をせず、適切に血糖値のコントロールができないままでいると、糖尿病の発症時から10年から15年ほどで、こうした合併症が併発すると言われています。
糖尿病網膜症は、眼底にある網膜の血管の機能が悪くなり、視力の低下や白内障、最悪の場合、失明をもたらします。
糖尿病腎症は、尿をつくる機能が弱まってしまい、人工透析などの治療を受ける必要が生じ、生活の負担が増えます。
そして、糖尿病神経障害は、これらの合併症の中でも、もっとも早く症状が現れると言われています。
糖尿病は、体のエネルギー源であるブドウ糖が血液中にあふれて、血糖値があがり、体の隅々に栄養素が運ばれなくなる病気です。
このため、足先や指先などに、栄養やエネルギーが行きわたらなくなり、手先や足先が、しびれたり、震えたりして、思うように動かなくなるという症状が出てくるのです。
酷いケースになると、栄養が回らないまま、細胞が壊死し、手足を切断しなければならないケースさえ生じます。
エパルレスタットは、糖尿病神経障害の初期の症状である手足のしびれや麻痺感を緩和してくれます。
効き目は割と緩やかですが、ある程度の不快な症状を改善することが期待できます。
エパルレスタットの作用は、末梢神経の正しい働きを阻害しているソルビトールという糖分を抑制することにあります。
具体的にいうと、ブドウ糖がソルビトールに変換される際に用いられるアルドース還元酵素の働きをエパルレスタットが阻害して、神経細胞内のソルビトールの量を過度に増やさないように作用します。
この働きにより、神経の働きがスムーズになり、手先や足先のしびれや麻痺が緩和されるようになります。
手の震えや手先のしびれが起き、湯飲み茶わんやお茶碗を落としてしまう、箸がうまく握れないなどの症状が出た時は、1つには、脳梗塞など、脳神経に異変が生じていることが考えられます。
脳卒中は、とにかく早い段階で処置を受けることが大切で、対処が早ければ、命の危険が抑えられ、後遺症もあまり残らずに済みます。
医師の診断を受け、脳卒中ではない、けれども、継続的に麻痺が続くという場合が、持病の糖尿病が進行、悪化している可能性があります。
糖尿病神経障害の診断を受け、エパルレスタットを服用する場合でも、薬だけに頼らず、食生活の改善と適度に体を動かし、手足の機能を低下させない心がけを忘れてはいけません。