ロキソニンというと、昨今では頭痛や生理痛に速く効く鎮痛剤とか、
その名のついたシップ薬などで広く知られています。
今でこそ、薬剤師のいるドラッグストアなどでも販売されているロキソニンですが、
つい最近までは解熱鎮痛剤として処方薬としてのみ販売されていました。

それまでの処方薬の解熱鎮痛剤の主流はボルタレンという薬です。
ボルタレンは胃への刺激が強すぎるため、処方時には胃腸薬とセットで処方されていました。
ですが、このロキソニンの登場で胃への刺激も少なく、
効き目もボルタレンに引けを取らない薬として広まり、
内科や耳鼻科が主な処方元だったの対し、今では外科や整形外科や産婦人科、
歯医者でも主流の鎮痛剤になっています。

このメカニズムは、プロドラッグ製剤と呼ばれ、鎮痛成分が胃で吸収されてから、
腸で活性型に変化し、効果を発揮するという仕組みです。
ですから胃の粘膜の刺激を極力抑えて、腸から体内へ吸収できるのです。

さらには血中への移行が早いため、患部にすばやくいきわたり、腫れや痛みを抑えてくれます。
その適用は、痛みや腫れを伴う様々な病状に効果があり、内科では発熱や頭痛、
関節痛を伴う風邪にはじまり、外科的手術をしたあとの痛み止めとしても使われているのです。
耳鼻科では中耳炎や扁桃炎など、同時に抗生物質や消炎剤が必要なものにも処方されます。
外科や整形外科では、関節痛、腰痛、神経痛、筋肉痛など幅広い症状で使われ、
産婦人科では月経痛、歯医者では歯痛や抜歯後の鎮痛など、あげればきりがありません。

つまりロキソニンはこれまでの解熱鎮痛剤の中でもっとも副作用の心配がない薬だということです。
また、これ自体には睡眠を促す成分は含まれていませんので、処方後に眠くなることもありません。
さらに昨今ではジェネリック薬も普及し、比較的安価に手に入るようになりました。

ただし、胃や十二指腸に障害のある者への処方はされていません。
また糖尿病や高血圧症などの成人病の重症患者の場合も同様です。
さらには、胃腸への影響は少ないとはいえ、ボルタレンほどではないということで、
空腹時のロキソニンのみの処方も禁じ手です。

また効き目があるがゆえの問題点も指摘されています。
例えば、インフルエンザにかかり、それを知らずにロキソニンで症状を抑えていたりすると、
体の不調はある程度で留まりますから、気がつかないうちにインフルエンザウィルスが脳へ感染し、
やがて脳炎を引き起こします。

問題点はありますが、ウィルス系の症状の場合には鎮痛剤に頼るのではなく、
ウィルスを撃退あるいは抗体できる薬が処方されなくてはならないということです。