薬の収益
市販されている薬は決して慈善事業で提供されている薬ではありません。
薬剤師も業種の一つであり、給料をもらっていくためには薬を販売しながら収益を上げていかなければならないのです。
したがって、販売されている薬はどのくらい収益を上げるものなのかを判断することも重要であり、薬剤師には経営者としての技量も試されているのです。
堅実な仕事が目立っている調剤薬局なのですが、実は原価をしっかりと考えています。というのも案外原価率を見てみると高水準になっているからです。
調剤薬局は大手になるほど経営状態を理解して原価率を調整していくことが多いのです。原価率を見直していくことで、経営状態を良くしていくことができますが、時に破綻を招きかねない状況になってしまいます。
例えば風邪薬で見ていくと、1000円の風邪薬ならば内訳でまず小売店が手に入れる粗利益がおよそ25パーセント、人件費やコスト費用などを含めた問屋のコストが25パーセント、粗利は10パーセントとなっています。
そして残りが製薬会社などの卸値となってきます。
卸値には研究費用や人件費、原材料や広告宣伝費用となっています。
この中で薬の原材料にかかっている費用は1パーセントとなっていますが、これが売価となっています。
研究開発費用が大きくかかってしまいますが、これを減らしていくことによって売上を伸ばしていくことができます。
特許を取るために開発を進めている薬は研究費用がおよそ数億円かかるといわれています。
そして薬によっては研究期間も10年以上かかってしまうことがあります。
それだけに売上を伸ばしていきたいものの、かかるコストがとても多いということが分かります。
処方せんの原価と収益
よく近所の診療所に風邪を引いたからと診察を受けに行って、処方せんをして薬を提供されることがありますが、このような原価を見ていくと儲ける目的で薬を提供しているようには見えません。
もしも稼ぎたいと考えるのであれば、コストをかけないで多くの薬を提供しようとするからです。
院外薬局でも薬をただ出していくだけでは利益が出ることはありません。
薬の値段は常に見直されており、投薬量や処方せんの料金はその都度算出されていますが、年々自己負担額も増えている状況下で、原価を見直したいと考えている製薬会社も少なくありません。
決して利益目的で病院は診察を行っていないということだけでなく、院外薬局でも儲け主義を張っているところはほとんどないでしょう。
今まで儲けるために、病院側は薬を多く提供していると思っていた患者は間違っていると思い直してください。
医師は適切な処方せんを利益や原価を考慮せずに提供しているのです。
処方する時にはしっかりと指示を守って服用するようにしましょう。また薬剤師はしっかりと指導を行うことが義務となっています。