薬はとてもありがたいものです。
元々人間には自然治癒能力があるのですが、その能力だけではどうする事も出来ないような事に対して積極的に働きかける事で、体調を健康に向かわす事も出来れば、病気を改善する事も出来ますし、予防にもなります。
日々進化していると言っても過言ではない薬は、様々なジャンルで重宝されているものですが、精神疾患に於ける薬物治療は少々癖があります。

なぜなら、精神疾患の患者の場合、他の病気のように数字として表れるものがないのです。
極論としては患者の気分という事になってしまいます。
仮病している可能性とてあるかもしれませんが、それらは数値では出ない部分です。

他の病気であれば、検査する事で数値が出ますので、過去のデータと照らし合わせる事で改善されているのか悪化しているのか簡単に分かります。
ですが精神疾患の場合、数値という具体的な物が出てくる訳ではありませんので、良くなっているのか悪化しているのかは、医師はおろか患者でさえよく分からないケースもあるのです。
また、精神科の領域に関してはそのような事情もありますので、他の診療科と比べて薬剤師の必要性があまり知られていないケースもあります。

育成という観点

精神疾患患者に対して適切に向き合う事が出来る薬剤師の育成という観点から、精神科薬物療法認定薬剤師は生まれました。
では精神科薬物療法認定薬剤師になるためにはどのような条件が必要なのかというと、薬剤師免許を保持している事、薬剤師として5年以上の実務経験を持ち、規定の学会に所属している認定薬剤師である事。

さらには、申請時に精神科のある病院や診療所などで働いており、精神科薬物療法に5年以上携わっていることを証明し、日本病院薬剤師会が認定する精神科領域の講習会に於いて所定の単位を履修し、精神疾患を持つ患者に対する指導実績が50症例以上あり、病院長や施設長から推薦をもらい、その上で精神科薬物療法認定薬剤師認定試験に合格しなければならないのです。
これはどれか一つ満たしておけば良いとかではなく、すべて満たしておかなければならないのです。

また、認定期間は5年です。
更新するためには更に必要な条件があるのです。

更新のために

5年間何もしなければ当然更新する事は出来ません。
5年間の中で精神科薬物療法認定薬剤師としてどのような活動を行ってきたのかまで問われますので、常に精神科薬物療法認定薬剤師として意識していなければならないのですが、精神疾患患者と向き合うためにはそれくらい大変だという事です。
ですが、その分遣り甲斐のあるジャンルとも言えます。
薬剤師として何か新しい目的を見つけたいと考えている人にとっては、精神科薬物療法認定薬剤師は目指し甲斐のある、そして遣り甲斐のあるものになってくれるでしょう。