薬を扱うお仕事と言えば薬剤師です。
薬剤師は国家試験に合格しなければならないもので、誰もが名乗れるようなものではありません。
一年に一度行われる国家試験に合格して晴れて「薬剤師」として活動する事が出来るのですが、一方で「薬学検定」なるものもあります。

まず大前提として、薬学検定は国家資格ではありません。
試験に合格したら何か資格を得る事が出来るという事ではありません。
試験に合格する事で「知識を持っている人」との証明をしてくれるというものです。

つまり、薬剤師とは基本的に意味合いが異なるものなのです。
薬剤師は、薬の調配合によって患者の健康を手助けする事が出来ます。
ですが薬学検定は患者に対して何かをするのではなく、あくまでも自分自身の知識を高めるためのものであって、薬学検定に合格したからといって薬局やドラッグストアで薬剤師として働く事が出来るようになるものではないのです。
ですが知識の証明にはなりますので、例えば薬品業界への就職が有利になったりする事はあるかもしれません。

何もしらない人間より、ある程度知っている人間の方が有利になります。
ですがこれ、勘違いしている人がとても多いようです。

資格の問題

確かにこれまで薬に関する資格があまりありませんでした。
薬剤師くらいのものでしたし、同じように「薬」という漢字が使われているのですから同じようなものなのではないかと思っている人も多いようですが、同じ薬を題材にした資格ではありますが、まったくの別物です。
ではなぜ薬学検定が生まれたのかと言えば、薬を取り巻く環境は大きく変化しています。

かつて薬と言えば薬局で入手するものでした。
ですが法律も改正され、薬局はもちろんですがドラッグストアやコンビニ、強いてはインターネットでも薬を個人で購入する事が出来るようになりました。
そのため、どのような薬なのかを消費者が知る事も大切になってきたのです。
それまでであれば、薬は必ず薬剤師から与えられるものでしたから間違った判断など有り得ないものでした。

誰のためか

ですがコンビニやインターネットの場合、薬剤師を通さずに自分だけで入手する事も出来るようになってしまったのです。
知識の無い人間であっても薬を購入する事が出来るようになってしまったのですから、トラブルにまで発展するような事が起きる事とて十分に考えられるのです。
そこで、そのようなトラブルにならないためにも、消費者自身に薬の知識を知ってもらおうという事で生まれたのが薬学検定であって、薬剤師とは根本的なコンセプトが異なるものなのです。
簡単に言えば薬剤師は仕事、薬学検定は自分の知識のためになるのですが、薬がコンビニやインターネットでも購入出来る時代ですから、薬学検定を取り巻く環境も変化があるかもしれません。