2015年の薬剤師国家試験は第100回目と言う節目の物でした。
前回よりも合格率が上昇し、合格率低下にも歯止めが効いているのではないかとの声もある一方、実は面白いデータもあるのです。
前回、薬剤師の国家試験の合格率に関しては参考程度に留めておけば十分だとお話しましたが、今回のお話はまさにそれです。
合格率がどのようにして出されているのかと言えば、受験者数における合格者数の割合です。

100人受験して100人合格すれば100%になりますし、50人合格すれば50%になります。
この数字そのものは特におかしなものではないのですが、実はこの数字をもっと細かく見てみると、違う事実も見えてくるのです。
それは出願したものの受験させていない学校があるのです。

これは、合格率アップのためとも言われています。
好意的に解釈するのであれば受けた所で合格するはずもないのだから受験する事もないとの配慮と言えなくもありませんが、学校側からすると合格率は高い方が宣伝になります。
そのため、出願させたものの、試験を受けさせない。

合格率の問題

そうする事によって合格率は若干ではありますが高くなります。
実はこれは以前から言われていた事でもありました。

不正とまでは言いませんが、正確な数字とは言えないのではないか。
そのような声があったのも事実です。
そこで、2015年の試験から厚生労働省は出願者数も発表したのです。

これによって、出願者数と受験者数の違いが如実に現れる事になったのです。
もちろん学校云々ではなく、単に試験当日に体調不良を起こしてしまった事も十分に考えられます。
ですが出願者数と受験者数が数十人単位で変わってくると、さすがに一つの学校の受験者の中で、数十人も当日に体調不良を起こすような事は考えにくいものです。

これから試験を受ける人にとっては合格率など特に意識しなければならないような数字ではありません。
ですがこれから薬剤師を目指すために薬学部のある大学に入ろうと考えている生徒で、合格率を基準にして考えているのであれば、この数字は注意深く見なければならないでしょう。

対策も出ている

出願者数と受験者数の数字の乖離が激しい学校の場合、試験を受けさせていない事も考えられるのです。
マークシート式なのですから何かが起きるかもしれないのですが、試験 そのものを受けなければ合格する事はありません。

この数字は公表されているデータでもありますので、これから薬学部に進路をと考えているのであれば参考にすべきでしょう。
つまり、裏を返せば既に薬科大学に入学している人にとっては、合格率によって何かが変わる事などなく、自分自身の合格のために邁進すれば良いだけなのです。